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TO GO ABROAD

48回生  後藤 大輔

 「ABROAD」と聞いて多くの人が「GO ABROAD:外国へ行く」という熟語を思いつくだろう。確かに意味としては正しいがここで僕は「ABROAD=広いところ(BROAD)へ(a)」という意味があるということをつけくわえたい。外国へ旅行をすると言うことは自分が今いる場所を離れ、地理的、歴史的により広い場所へ行き普段とは違った出来事を体験することでもあるからだ。それでは外国へ旅行することについての意義は何なのだろうか。それはまず違いを見つけることである。
 
 外国へ行くと日本とは違う点がたくさんあるが、まずは言語の違いというのが一番ポピュラーでかつ難解な点であろう。特に日本の場合、周りを海で囲まれた島国であるので他国の言語が伝わることがあまりなく独自の言語が発達したために他国とは言語においての共通項も少なく日本人がそれら外国語を習得するのも難しいのである。しかしその国の言語を知らなくてもそれ故に身につくこともある。身ぶり手ぶりなどの意志疎通の手段やそれを他人に使うことのできる積極的で社交的な性格などがそうである。ある国、例えばアメリカなどに行く場合に英語がネイティブのように使えなければいけないと言うことはない。その言語についての少しの知識とあとは積極的な性格があれば立派に会話はできるのである。そして外国でその地の言語を使って土地の人とコミュニケーションをとる時に自分の話しぶりをいちいち気にする必要はない。たどたどしくても一生懸命日本語を話す外国人を見て僕らがすばらしいと思うのと同じように、外国の人々も異国の人が自分達の言葉を話すことができる、というだけで意外といい印象を持ってくれるのだ。
 
 言語の違いを克服したならば次に感じる違いは文化の違いである。その"文化"はいろいろ細かい項目に分けることができるがまあ言い代えれば習慣、ひいては思想の違いとも考えられるのである。

 例えば外国、特に欧米諸国では男女平等の習慣が強い力を持ち男なら仕事をして女なら家事をすべきだということはあまりない。私が以前お世話になったある家族では夫婦共に同じ職業(ちなみに学校の先生だったが)に就き、夕飯は毎日交代で作るという決まりを作っていてしかも奥さんの方が仕事で忙しいらしくだんなさんが何日か連続で夕飯を作るということもしばしばであった。このような家庭内では女性は家事や子供の世話のために煩雑な仕事が犠牲になることはないのである。最近では日本でも男女平等を叫ぶ声がだんだんと強くなってきたがそれでもなかなかそれが実現しないのはやはり男尊女卑を根底においた日本の社会としての考え方が原因なのだろう。男女の雇用の差や女性の進出がなかなかできない伝統芸能の数々を見ると特にそう思うのである。そしてこれこそ日本と外国との習慣の差であり思想の差なのである。このような例は子供に対する酒や煙草の規則の程度やお年寄りの方への接し方についてなどいろいろある。そしてそのようなことがらを見つける度に私たちは日本との差を感じるのである。
 
 しかしそれらの違いは感じるだけでなく、自分の思想を豊かにすることもできる。つまり日本人の思想と外国人の思想のいい所をつなげて1人の人間としてよりよい思想を作っていくのである。日本にいくら自分が住んでいるとはいえ気にくわない思想もあるだろうし、自分の性にあった思想が他の国かもしれない。それらを自分流に組み立てていって日本という狭い枠にとらわれないワールドワイドな思想を持つということはこれからの日本人、特に未来の日本を背負う若い人々にとっては国際交流の点において重要なことなのである。
 
 今まで書いてきたように、外国へ旅行をするということは結局普段との違いを体験し、克服することで自分自身を精神的に成長させることなのである。よく"買い物ツアー"と称された旅行に行く人々がいるが、それは厳密に言えば旅ではないと思う。確かに旅の思い出として現地で記念の品を買うのも大切だが物を買うという行為を旅行のメインにしてしまうのは前述した旅行することの意義から考えておかしいことなのである。旅行をすることで物質的に豊かになることよりも、物質よりもずっと後まで自分の手元に残る精神的な面を豊かにすることの方がずっと有意義ではないだろうか。


後藤 大輔(ごとう・だいすけ)

現高校2年。

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